見応えたっぷり!スカルペリーアのヴィカーリ宮殿&ナイフ博物館

「イタリアの美しい村」にも選ばれている、フィレンツェ北部のスカルペリーア。この小さな村の旧市街に、アンバランスなほどに立派なのが、このヴィカーリ宮殿。フィレンツェ共和国の北側の防衛目的で建てられた塔、そしてヴィカーリ(代理統治者)の為の建物に増築・改築されたもの。現在残っているほとんどは、その20年前の地震でつぶれた部分を改修した1562年のもの、そして修復を行った1937年~のものになります。20年ほど前まで市庁舎として実際に使用されていましたが、現在はミュージアムに。宮殿の正面扉を入って2つ目のホール、左側がミュージアムのエントランスになります。

これがミュージアムの入り口。正面に迎え入れてくれるのが、聖クリストフォロス。3世紀に殉死した聖人ですが、それとは知らずに、赤子のキリストをおんぶして渡ったとされています~まさにそのシーンを描いた15世紀のフレスコ画です。入って右手が、チケット売り場兼ツーリストインフォメーション。ここではミュージアムのチケット購入や村のパンフレットももらえ、そして・・・

無料で音声ガイドのタブレットを貸してもらえます(身分証明証と交換)。残念ながらイタリア語と英語しかありませんが、操作は簡単で分かりやすいので、少しでもどちらかの言語が分かる方は借りてみましょう。そして、この階段を上って2階部分がミュージアムスペースとなります。ヴィカーリの間は全部で4つ、一つ目にあるのが、普段の生活でもなかなか民衆の中には入れなかった、ヴィカーリオ専用の礼拝堂がある部屋になります。

ここには、このミュージアム目玉の美術作品、「玉座の聖母子と聖人たち」。ヴィカーリオ・アルトヴィ―ティにより、1501年にギルランダイオ工房にて描かれたものになります。

続いては、「oriolo(=orologioのトスカーナ方言)の間」。ここには、なんと1445年、亡くなる1年前にかのブルネッレスキが製作した塔の時計が展示してあるのです。これは「20フィオリーニ(当時のフィレンツェ共和国の通貨)で製作した」とフィレンツェ共和国の記録文書として残っているそう!5世紀以上に渡りこの村の時を刻んできたオリジナル、そしてその歴史や機構などのパネルが展示してあります。そしてこの間から、かつてこの時計があった塔に上ることができるのです。

塔への階段は全部で102段、木製の階段を登りきると、こんな風にヴィカーリ宮殿のある広場が真下に見えます。ちょうどカーニバルの時期だったので、地元の小さい子供たちとその家族が仮装して、コリアンドリ(紙吹雪)を投げて盛り上がっていました。他の方角は、このムジェッロ地方の連なる山々、そして比較的大きな新市街まで見渡すことができます。

もう一度下に降り、続いての間は「市長の間」。

というのも、1999年まで市庁舎だった時の市長室だから。現在市庁舎は旧市街の北端に移動していますが、今でも市民の婚姻の儀はこの部屋を使用しているそうです!なので、大きな机の前に新郎新婦用の2脚のいすが置いてあるんですね。この部屋の一角にある、16世紀作の砂岩でできた大きな暖炉もお見逃しなく。

そして最後は、「評議会の間」。

この部屋は名前の通り、かつてより評議会が開かれていた所。別名「カーテの間」、と呼ばれるように、壁面にはヒダがリアルなカーテン、その上には歴代ヴィカーリの紋章=任命されたヴィカーリは、その証拠として必ず紋章を残さなければならなかったので、過去の紋章の上からかぶって描かれているのが面白いです。そしてアイアンの照明器具や大きな暖炉・・・この空間に身を置くだけで、中世にタイムスリップしたかのよう。

そしてこの間の奥から、もう1つのミュージアム「ナイフ博物館」へつながっています。こちらはヴィカーリ宮殿の北側になり、1999年にオープンしました。

宮殿の間とはうって変わって、近代的なパネルを見ながら最初の部屋へ。この通路と最初のマルチメディアルームは、2014年にオープンしたもの。ナイフ工房での製作過程のビデオや、世界各国語で書かれた「ナイフ」、いろんな資料などがあり、学校の遠足やワークショップなどで使用されているそうです。

展示室は全部で4つ、1つ目はイタリアのナイフ、1800年代~今日までの生産者の紹介。

歴史の中で、どのようにナイフが使われてきたか。武器、農業、食事、などなど。

そしてイタリアのナイフ生産者について。1800年代、北部のピエモンテ州、ロンバルディア州、フリウリ、中部ではこのトスカーナ州のスカルペリーア、南部ではカラブリア州の一定の地域でナイフ生産が盛んになりました。このパネル、生産地ごとにその特徴的なナイフが描かれていて楽しい。

もちろん、実際にナイフの展示もあります~刃の部分、持ち手の部分に植物や動物をモチーフにした彫があったり、1つ1つ丁寧に見ていると時間を忘れてしまいます。

2番目は、スカルペリーアのナイフの歴史や、その工房について。スカルペリーアのナイフ生産は14世紀の村の建設当時から始まり、1539年には素材や販売方法などの規定が制定されています。その後の発展により、品質や工房を守るための弟子制度についての規則が追加され、1630年に制定された規定では、機密事項である工房の技術流出を防ぐため、弟子は息子だけしかなれなくなったそうです。

写真は、スカルペリーアのナイフ職人とその弟子たち(なんかイケメンが多い!)。

1900年から1970年のナイフ工房の地図。ヴィカーリオ宮殿が真ん中下の細長い建物で、現在のソルフェリーノ通り、マジェンダ通り、パレストロ通りに集中しています。しかし、ナイフ生産は政治的・経済的の変遷のより大きく左右され、1841年には43軒に。その後1800年代半ばからは国際的見本市に出展したり、生産者組合を設立したり、独自にナイフ文化を守り発展させる努力を続けますが、現在、見る限りはナイフ工房は10軒あるかないか、という程度に縮小されました。

日本の包丁に似たものも!料理用に関しては、時代と共にいろんな形状のナイフが作り出されているので、それらは実際に残っているナイフ工房・ショップで見てみて下さい。ショップに行く前に、このミュージアムでナイフの知識やスカルペリーアのナイフの歴史を予習しておくと、ナイフ購入や店員さんとのおしゃべりも一層楽しくなりますよ。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

ヴィカーリ宮殿・ナイフ博物館
Piazza dei Vicari – 50038 Scarperia e San Piero (FI)
Tel : +39-055-8468165

11月1日~4月30日の水木金は10:00-13:00、土日祝は10:00-13:00・14:30-18:00
5月1日~10月31日の水~日と祝日共に、10:00-13:00・15:30-18:30
休館日:月、火、12月25日

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