ダンナのばーちゃん、もうすぐ93才。昨年のクリスマスをばーちゃん家で過ごした後、1月の8日にフィレンツェのマンマの家に移動。フィレンツェの施設に入るため、マンマは住民票の移動やらホームドクターの変更やら、山のような必要手続きに追われてながらも、手続き完了までもう一息!という所で、また転倒してしまいました。マンマが鳴った固定電話に出るため、ほんの一瞬目を離したすきに、1人で立ち上がろうとして、マンマがドスンという音で振り向くと床に転がるばーちゃん・・・救急での診断は腰の骨折。ギブスも何もつけられない場所なので自然治癒しか方法はなく、病院からは検査終了後出されることになったのですが、もうマンマも心身共に限界となったので、高いお金を払って入居できる施設に入ることになりました。
もうクリスマス辺りから、私や息子達のことがよく分かってなかったようだけど、先日マンマ宅で会った時は、もう完全にボケていて、マンマ以外は誰だか分からないよう。そして突然「パスクアはどこ!?」と昨年亡なったお姉さんを探したり、「そろそろきのこ狩りに行くか!アンタは豚、アンタは羊見て来て」と、家族で農家をやっていた幼少時代に戻っていたり・・・仕方ないことは分かっているけれど、ほんの3年前の写真を見てると、何だかとってもノスタルジー。
PASTA FRESCA fatta a mano = 手打ちの生パスタ。私が2001年5月にフィレンツェに留学に来て、初めてばーちゃん家に滞在させてもらったのは、その夏のこと。ダンナのばーちゃんはもちろん、祝日や日曜の朝、家族が集まるランチの日には、どの家の窓からもパスタを打つマンマやおばあちゃんが見えて、「ああ、これがイタリアのホントの姿なんだ」と感動したのを今もよく覚えています。全て目分量で、おおよそ1キロ近いパスタを黙々と、慣れた手つきで仕上げていく姿はイタリア人からしたら当たり前でも、日本から来た私にとってはマジックのよう。いや、最近はイタリア人でもパスタ打つ人は多くないので、とても貴重なことかもしれません。
これらの写真は2016年のイースター。残念ながらばーちゃんのパスタを打つ姿は、その夏が最後となってしまいました。「なに写真撮ってんの?」とやいやい言われながらも、写真や動画を撮りまくり、目に焼き付けておいて、本当によかった!
この麺棒で一気に1枚に伸ばし、手で切る妙技はまだまだ修行が足りないけれど、家族のためにパスタを打つのは、私がしっかり続けていきたい・・・日本人の私が言うのは変かもしれんけど、この伝統は継承していきたい。何より私が、パスタを打つばーちゃんの姿が大好きだったから。ばーちゃんから習ったパスタを、ダンナや息子たちにも食べてもらいたいから。
「触ってみ、均一にこれだけ薄くするんだよ」・・・このパスタの感触、そしてばーちゃんのドヤ顔(笑)は絶対忘れません。そしていつか私も、息子の嫁たちにドヤ顔で教えるのだろうか?
ちなみに、そんなばーちゃんはイタリア中に存在します。そんなイタリアのばーちゃんたちが郷土パスタを作る様子は、イギリスのユーチューブチャンネル「ばーちゃんのパスタ」で公開されて大人気だとか!おらが村ゾーンの郷土パスタ・ムジェッロ風トルテッリもつい最近、収録されたそうですよ。
やっぱり最強、ばーちゃんのパスタ!